化学物質リスクアセスメントマルチツールの機能追加について

2022年8月

CREATE-SIMPLE設計基準をベースとした少量・低頻度手法に以下の機能を追加しました。

各機能についての概要を以下に示します。


○実施レポート出力

 CREATE-SIMPLEと同様な実施レポートを出力できるようになりました。A4版1枚に現状と対策後のリスク評価結果をまとめて出力できるので、結果の周知や保存に便利です。

出力手順

  1. リスク評価の結果を実施レポートへ反映するために、「結果」と「火災・爆発CRA」上部にある以下のボタンをクリックして下さい。



  2. 「結果」の「実施レポート等」で実施者情報を入力し「実施レポート」ボタンをクリックすると、実施レポートが表示




  3. タイトルなどを入力し、「PDF出力」または「印刷」をクリック



    実施レポートの最後の備考欄には、その他の調査・観察事項等,結果に基づく措置,作業内容の詳細などを入力して下さい。なお、火災・爆発CRAで火災・爆発発生のシナリオを入れた場合はここに自動的に転記され、また、2成分以上の混合で混触危険性がある場合もその情報が転記されます。


○ラベル出力

 安衛法改正により、2023年4月から、ラベル表示対象物を他の容器に移し替えて保管する場合も、内容物の名称やその危険性・有害性情報をラベル等で伝達することが義務付けられることになりました。このため、このツールにラベル出力機能を追加しました。

利用手順

  1. 右側メニューから「ラベル作成」を選択



  2. 成分数、成分名を入力し、注意書き表示レベルを選択



  3. ラベルをPDF形式で出力するか、EXCEL形式で出力するかを選択し、出力します。EXCEL形式では出力後にユーザーが自在に整形して印刷等が出来ます。




    以下はEXCEL形式でラベル数4枚を選択した場合の出力例です。



○保護手袋選定

 安衛法改正により、2024年4月から、健康障害を起こすおそれのあることが明らかな物質を取り扱う場合には、保護眼鏡、不浸透性の保護衣、保護手袋または履物等適切な保護具を使用することが義務付けられます(2023年4月〜2024年3月は努力義務)。また、SDSについては、新たに「 (譲渡提供時に)想定される用途及び当該用途における使用上の注意」が追加され、「貯蔵又は取扱い上の注意」に保護具の種類を記載することが義務付けられます。
 このため、このツールに保護手袋選定するための機能を追加しました。

利用手順

  1. 右側メニューにある「保護手袋選定」を選択



  2. 取り扱う化学物質の成分数、物質名(またはCAS No.)を入力



  3. 保護手袋素材の耐溶剤性(溶解・膨潤・劣化等)を確認



  4. 保護具選定のためのケミカルインデックスで破過時間を確認



  5. 「メーカー別破過時間表」を開き、ショーワグローブ、ダイヤゴム、ダンロップホームプロダクツ、ハナキゴム製保護手袋の破過時間を確認



  6. 「その他の情報」で

    ・GESTIS物質データベースを元にした適合素材、および指定の素材厚さでの破過時間
    ・保護手袋の一般的注意事項(再利用可能手袋と使い捨て手袋の違い、再利用可能手袋の手入れ、使い捨て手袋の外し方・廃棄・アレルギーについて)

    を確認

○混触危険表示

 このツールでは既に調製された2成分以上の混合物のリスク評価を行えますが、混合物を調製する際の発熱・発火等の事故を防止するため、入力した成分の混触危険性を表示する機能を追加しました。この混触危険性は、「化学物質入力」と「火災・爆発CRA」で表示されます。

  1. 「化学物質入力」で複数成分を入力



  2. 混触危険性がある場合は、「注意 混触危険成分あり → 混触危険情報を開く」と表示されるので、「混触危険情報を開く」をクリック
  3. 以下のような混触危険情報が表示される。




○急性中毒アラート

 このツールの「少量・低頻度」手法はCREATE-SIMPLEをベースにしている関係で、健康影響リスク評価は「長時間健康影響」リスクを対象にしています。しかしながら、多量の化学物質を換気の悪い場所で使用した場合には、高濃度の蒸気・粉末を吸入した場合の急性中毒にも注意する必要があります。そこで、吸入リスクレベル判定結果の下に、急性中毒のリスクレベルを以下のように表示するようにしました。

   


○混合物のGHS分類にNITE-Gmiccs分類ロジックを適用 

 2成分以上の混合物のGHS分類を求める際に、NITEの混合物GHS分類、ラベル/SDS作成ツール「NITE-Gmiccs」に使われている分類ロジックを下記で使用するようにしました。