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化学物質リスクアセスメントツール Q & A 

よくある質問(質問は随時受付いたします)

厚生労働省「化学物質対策に関するQ&A(リスクアセスメント関係)」はこちら
 Q1 【共通】どういった時にRAを行えばいいですか?
 A1 あなた自身がこれまでに一度もRAを行っていない物質を使用する場合は使用する前に実施して下さい。その操作のリスクレベルがIII以上になる場合は、リスク低減措置を検討・実施して下さい。
 Q2 【共通】「小分け」も対象になるのでしょうか?
 A2 有機溶剤等を容器から容器に移す操作であっても、ばく露の危険があるため、適切なばく露防止策が必要です。化学物質によるリスクを伴う操作ですから、RAでリスク確認を行って下さい。なお、屋外では「通風がよい所でかつ気流の川上側に立つこと」、屋内では「ドラフト内で行うこと」がばく露対策として挙げられます。
 Q3 【共通】減圧蒸留のRAでの温度と滞在時間はどうすればいいですか?
 A3 蒸留操作は、基本的に仕込んだ溶剤の大部分を蒸気にした後液化回収する操作です。蒸留そのものは専用の器具の中で還流しながら行いますし、減圧時の排気も適切なトラップを入れることで、蒸気の装置外漏出を抑えることができます。蒸留操作でばく露の可能性があるのは、蒸留装置へ仕込む時と蒸留後に取り出すときでしょう。従って温度は蒸留後に取り出すときの温度にして、滞在時間は仕込みと取り出しにかかる時間の合計を入れて下さい。
 Q4 【共通】リスク低減措置を反映してもリスクレベルがIIIより下がりません。
 A4 リスクレベルがIII以上の場合は、健康障害を生じるリスクが高いため、このレベルの実験を行う前に、以下の「特別の措置」を講じて下さい。

1. 専門家(指導教員)に相談。
2. 特別規則(有機溶剤中毒予防規則、特定化学物質障害予防規則など)該当試薬の場合は年2回の作業環境測定の時に当該操作を行い、管理区分Iであることを確認。
3. ハザードレベルがより低い物質への代替を検討
4. 防毒マスクなど個人用保護具の利用を検討。
 Q5 【共通】メタノールを寒剤として使用していますが、マイナスの温度を入れても揮発性・飛散性ポイントが高いままでリスクが下がりません。
 A5 20℃以下の温度では、溶剤の沸点のみで揮発性を考慮する仕様になっているため、マイナスの温度を入力しても、揮発性・飛散性ポイントは下がりません。 これは、実際の操作の中で、どうしても室温で操作する段階があることを考慮しているためです。ちなみに、「少量・低頻度向け」では「揮発性評価に蒸気圧使用」を選択することで、使用温度時の物質の蒸気圧から揮発性の大きさを評価することができます。この場合、メタノールが冷える前や常温に戻した時に行う操作は出来るだけ短時間(合計で15min以内)で終えるようにし、液体の露出部を減らしたり全体換気を行って人が呼吸する空気中の濃度が200ppm(メタノールの許容濃度)以下になるようにして下さい。 
 Q6  【少量・低頻度向け】RA結果の見方が分かりません
 A6  以下の文書を参考にして下さい。 「結果の見方」
 Q7 【半定量的手法】部品の払拭・洗浄に少量のアセトンを使いますが、RAを行うとリスクレベルがIIIになります。ドラフトなどは設置していない部屋ですが、大丈夫でしょうか?
 A7 アセトンは有機溶剤中毒予防規則に基づく管理が必要ですが、作業時間が短時間で、全体換気を設けたときはドラフトを設けなくてもよいという特例があります。第二種有機溶剤を使用する場合の全体換気に必要な1分当たりの換気量Q[m3]の下限は、有機溶剤の消費量W[g]を使って次式で定められています。

Q=0.04W

部屋の天井に取り付けられている熱交換型換気ユニットには種々の換気性能のものがありますが、最低でも居室は1スパン当たり70m3/h、実験室は1スパン当たり100m3/hの換気が確保されているようです。従って、1スパンの実験室で作業する場合は、上式をW=に書き換え、

100[m3/h]/60[min/h]/0.04[min/m3/g]=41.7[g]

より、約40gまでであれば、熱交換型換気ユニットを作動させて作業すれば良いということになります (設置時の換気性能が保持されていることが前提)。但し、顔の近くで作業すると短時間ばく露限度(ACGIH STEL)750ppmを超える高濃度吸引で中毒の恐れがあるため、顔から遠い位置で出来るだけ風上側より作業するようにして下さい。 各実験室に設置されている熱交換型換気ユニットの性能は多岐にわたり、換気扇が併設されているケースもありますので、40g以上の短時間使用を予定している場合は、設備担当部署へ換気量を確認願います。
なお、1~999gのアセトンを使った室温作業を「全体換気あり」でRAすると、リスクレベルII(許容可能なリスク)となりますが、 法定措置が優先ですので、短時間の作業とし、上記使用量の上限を守るようお願いします。
 Q8 【共通】「結果の詳細」と「火災・爆発CRA」結果のPDF出力する方法を教えてください。
 A8 「結果」の上部にある「実施レポート等」より、追加情報の「結果の詳細」と「火災・爆発CRA結果」にチェックを入れて「PDF出力」をクリックしてください。
 Q9 【共通】「実験条件入力」の操作名として溶液調整やエバポ濃縮等を選択できますが、操作の違いによるばく露の違いをどのように処理していますか?
 A9 操作名を選択出来るようになっていますが、リスクアセスメントには使用していませんので、 どのような作業についてのリスク評価なのかを記録するための単なるメモとご理解ください。
 Q10 【共通】福井大学以外の機関の利用について、制限・制約等がありますか?
 A10 中災防方式の「半定量的手法」「定性的手法」を利用される場合は、トップページに記載した中災防のリスクアセスメント研修の受講を推奨します。 一方、厚労省/みずほリサーチ&テクノロジーズが開発したCREATE-SIMPLEの設計基準をベースとした少量・低頻度向け手法やラベル作成/保護手袋選定はご自由に利用できます。 なお、ツールで出力される結果の正確性、信頼性、完全性を本学が保証するものではありません。自己責任でお使いください。
 Q11 【共通】GHS分類・区分を登録した情報は、登録者以外の者が自由に利用できますか?
 A11 「化学物質入力」画面で、GHS呼出対象を「ユーザ」とすることで、どなたでも利用できます。 ご自身が登録したデータをピンポイントで使用したい場合は、登録した際の「user-****」で呼び出してください。 但し、登録データについては不定期に削除いたしますのでご了解ください。
 Q12 【共通】保存用PDF出力でツール画面では表示されない「火災・爆発リスクレベル判定結果」を出力することができますが、誘導過程が分かりません。
 A12 上部メニューの「火災・爆発CRA」で内容の確認や割付の修正ができるようになっています。
 Q13 【半定量的手法】アセトン100ml,20℃,60min,換気なしでリスクアセスメントを行うと、リスクレベルがJISHA方式ではIIIに、BAuA EMKGではIIになります。どちらを信じればよいのでしょうか?
 A13 BAuA EMKGは吸引と皮膚接触のばく露ルートに特化したコントロールバンディングです。 ご質問は、JISHA方式の総合リスク判定とBAuA EMKGの吸入でのリスク判定の結果が異なることについてです。 両者の相違ですが、後者ではGHS分類・区分をハザードレベルに割り付ける際に、皮膚接触の寄与分を無視(このツールでは最低レベルにしています) していることもありますが、「結果の詳細」を見ると、今回のケースでは、GHS分類の生殖毒性区分2が、JISHA方式ではハザードレベル4に割り付けられているのに対して、 BAuA EMKG(吸入)では3に割り付けられていることに起因しているようです。 「CRA環境設定」で両者のハザードレベル割付の違いを確認できます。
なお、少量使用であっても、少なくとも全体換気は稼働するようお願いします(No.7参照)。
 Q14 【半定量的手法】実測値を用いない方法にもかかわらず、ばく露レベルの決定表が、実測値を用いる表になっています。
 A14 以前は、実測値を用いる場合と用いない場合とで別の表になっていたようですが、2014年8月のJISHA講習のテキストでは、両方同じ表を使うように修正されています。
 Q15 【共通】ラベル表示・SDS交付義務対象物質 866物質(2024年4月1日 時点)に指定されていても、システムに登録されていない物質があります。
 A15 本システムに登録されている物質は、NITEホームページの政府によるGHS分類結果のデータで、かつCAS RN®が存在する物質になります。ここで公開されていない物質については登録しておりません。 ただし、水溶液のリスク評価ができるように「純水」は例外的に登録しております。 なお、厚労省によると、職場のあんぜんサイトで公開してる896物質のリストのうち危険・有害性が不明なものについてはGHS分類データはないとのことです。 また、危険・有害性が認められた物質については順次、NITEホームページにてGHSデータを公開していくとのことですので、本システムもそれに連動して登録する予定です。
 Q16 【共通】「実験条件入力」に「1gまたは1mL未満は対象外です」や「1分以内は対象外です」がありますがその根拠は?
 A16 使用量の1gまたは1ml未満を対象外としているのは、JISHA方式にmgやμLの区分がないためです。 1gまたは1ml未満を入力しても、gまたはmlの区分にあるとして評価しますので、少量でも危険・有害性によるリスクが懸念される作業の場合は、小数点以下で入力いただくか、1gまたは1mlとして評価して頂けばよろしいかと思います。 一方、作業時間の1分以内を対象外にしていることについては、特に根拠はありません。1分以内に終わる作業があり、それがご心配であれば、こちらも小数点以下で入力いただければ結構かと思います。
 Q17 【共通】ホルムアルデヒド水溶液の濃度を入力してリスクアセスメントをしたいのですが、どうすればいいでしょうか。 また、濃度を低くするとリスクレベルは下がりますか?
 A17 ホルムアルデヒド水溶液のリスクアセスメントを行う場合は、2成分としてホルムアルデヒドと純水を入力して下さい。 ホルムアルデヒドには「ホルムアルデヒド液(37%)」を選択します。次に、10%濃度のホルムアルデヒド水溶液を使用する場合は、濃度欄にホルムアルデヒド10(wt%)、純水90(wt%)を入れます(先の「37%」はGHS分類で付けられたものなので無視します)。ホルムアルデヒドの職業ばく露限界は0.1ppmですが、ホルムアルデヒドの飽和濃度37%よりも希釈されると蒸気圧が低下することを考慮して、職業ばく露限界は0.1ppm×37wt%/10wt%=0.37ppmへと自動的に修正されます。これはリスクレベルが下がる方向への修正であり、場合によってはリスクレベルが1段階下がります。混合物の職業ばく露限界の算出については、 こちらをご覧ください。
 Q18 【共通】「実験条件入力」でリスクアセスメントする化学物質によって「S」が茶色で「眼・皮膚」が赤色に表示される理由を教えてください。
 A18 「Unified Hazard Banding割付」では、ツール上で「S(眼・皮膚)」を表示させる際に、眼または皮膚のハザードレベルの最大が5段階の4以上の場合は「S」を茶色で示す仕様としています。また、眼と皮膚それぞれのレベルが4以上の場合は、該当する文字列(眼、皮膚)を赤色で表示することで、とくに危機感を高めるようにしています。詳しくは、こちらをご覧ください。
 Q19 【共通】11成分のリスクアセスメントをしたいのですが、10成分までしか入力が出来ません。その場合はどのように実施したらよいでしょうか。
 A19 成分ファイル(行ごとに成分名またCAS RN®と濃度をカンマで区切って定義したCSVファイル)を読み込む場合は、20成分まで対応しています。
 Q20 【少量・低頻度向け】無機化合物は経皮吸収リスク評価できないのはなぜでしょうか。
 A20 モデル構築に用いる水溶解度とオクタノール/水分配係数のデータは、有機化合物向けに開発されたEPI Suiteのデータを利用しています。実験値を優先してデータベースに格納していますが、無機化合物の場合は実験値がほどんどなく推算値となります。推算手法が無機化合物に適しておらず異常な値となるため無機化合物の経皮吸収リスク評価を無効にしています。
 Q21 【保護手袋選定】劣化耐性表の〇、△、×表示の違いを教えてください。
 A21 以下の文書を参考にしてください。
「溶解度パラメータによる保護手袋素材の耐溶剤性能の推測について」
 Q22 【ファイル読込】「ファイル読込用CSVファイルの書式について」を参考に作成したCSVファイルの読み込みができません。「読み込んだデータが異常です」と表示されます。
 A22 このツールで読み込みができるファイルの文字コードはShift-JISです。CSVファイルの文字コードを確認してください。 Excelで読み込んだ後に「CSV(コンマ区切り)(*.csv)」形式で保存いただくと文字コードがShift-JISで保存されます(※「CSV UTF-8(コンマ区切り)(*.csv)」ではありません)。
 Q23 【少量・低頻度向け】吸入リスクレベル判定結果で表示されるリスクレベルのカラースケールに示されている▲とその下の数値は何を示しているのでしょうか。
 A23 カラースケールに示されている▲とその下の数値は、「補正後の推定ばく露濃度範囲」内での「推定ばく露濃度」に基づくリスクレベルの位置を示しています。 リスク判定結果は、「補正後の推定ばく露濃度範囲の上限」と職業ばく露限界と比較した場合のリスクレベルとなります。そのため、リスクレベルがIIであったとしても推定ばく露濃度で比較した場合では、▲の位置がリスクレベルIの範囲に入ることもあります。「推定ばく露濃度」の算出方法については、こちらをご覧ください。
 Q24 【少量・低頻度向け】吸入リスクレベルはⅡであるのに、総合リスクレベルはⅠとなるのは、なぜでしょうか。
 A24 総合リスクレベルは、CREATE-SIMPLEとは異なり「推定ばく露濃度と職業ばく露限界との比(吸入リスクカラースケールの▲の位置)」と「経皮吸収量と経皮ばく露限界との比(経皮リスクカラースケールの▲の位置)」の合算により決定しています。 一方、吸入リスクレベルについては、CREATE-SIMPLEと同様、「補正後の推定ばく露濃度範囲の上限(≧推定ばく露濃度)」に基づく判定を行うため、総合リスクレベルよりも1段階高くなることがあります。